あの頃、ビックリハウス。そして今

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富永京子サンによる大労作『ビックリハウスと政治関心の戦後史』読了。

1961年生まれ、まさにこの研究対象の時代、この価値観にある意味ドップリだった身としておっかなびっくり読み始めたのですが、結論部分の一文(P287)を噛み締め、よくぞ言ってくださったとウルッとしてしまった次第(間違った感想かw)。

要するに。音楽に准えるならパンク・ニューウェイヴ、ということなんですボクらは(と代表者ぶるのもなんですが)。先行世代の在り方に違和感を抱き、組織や運動体による拘束を嫌い、既存のカルチャーを対象化していく中で、ボクらなりに社会と向き合いつつ、新しさを見出していた80年代。

「人の数だけ世界観があるのに気付いてコワイ」といった趣旨の投稿も見かけたヘンタイよいこ新聞。近田センセイの決めゼリフは「世の中色々あるぞ」。そしてヘラヘラとひねくれたジョークを撒き散らし、何かの意思表明はなんとなく避けながらモヤーっとした空気感を享受する。でも「ゴミにブチ込め権力」とサラっと唄うムーンライダーズにコッソリとうなずく。

あの気分、価値観がどの程度の範囲で共有されていたのか分かりませんが、少なくとも当時の一般的な言論空間の風通しの良さは今と比較になりません(まあ、ネットもSNSも無かったし)。

その後ボクらも歳を取り時代も社会も変わり、いつまでも仲間内だけでニヤニヤしていられない、世の中もっと差し迫ってきたと感じる日々。

ただ、数十年経て改めて、あの時代に生み出された冷笑的態度、事象をおちょくるスタンスが、その後の世代に与えてしまった悪影響を目の当たりにして、言いようの無い後ろめたさに苛まれてもいるのです。

2024年、遅ればせながら…

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大変に今更、というタイミングですが、あけましておめでとうございます。

と、言ってみたものの、昨年は親友や近しい人を相次いで失い、また遠い存在ながら自分にとって大切な方々が多く旅立たれて喪中な気分、というところに大災害や大事故、お屠蘇気分というより気持ちを紛らわそうと大酒(あ、コレ都合のイイ言い訳w)喰らい、何となくボーッとしたまま迎えた正月明け、1月も中旬を過ぎやっと通常運転な気分になってきたところです。

ここ20年ほどズーーっと感じてきた世の中のヤなカンジ、いよいよ「カンジ」を通り越し危険な兆候を見せ始めた昨年、でもまあ諸々巨悪が多少でも崩され、世の価値観が書き換わってゆく様も見受けられ、悪いことばかりでもないでしょう、と思い込む。

にしても、価値観の上書きは自分の身にも降りかかり、数十年の行いへの反省ばかりがつのる日々。

兎に角、本格的に老いてく時期に今の仕事・環境を選んだワケで、せいぜい面白がりつつ前に進んで参りましょーか。

そして例の如く、2023年「私の収穫」を。

こう見えても?新しい音との出会いは常に模索しているんですがなかなかパッとしたもの見つからず。でも今回は収穫アリ。

先ずはなんつってもこの2枚、とってもアイデアに満ち、演奏も達者、スゴいことやってるのに飄々と、ユーモアも感じさせる、こーゆーのが今は一番好きです。「コロナ禍の心情を見つめ直し、繊細なサウンドに真摯な唄を…」とかいう手合いは他所でやってくれ、ってカンジ(言い過ぎ)。 #民謡クルセイダーズ #knower

デビュー作以来ずっと追っかけてる #nagakumo 最新盤もやっぱり素晴らしかった! 曲・演奏・唄、そして歌詞がイイ。さらにCDのパッケージングの可能性を追求してるとこもスゴい。勝手な例え方をすると、#skirt を知り夢中になったあの頃のカンジに匹敵する、そんな状態のわたしです。嗚呼、ライヴ観てみたいなあ(なかなか東京でやらない様子…)。

そして、メモリアルな2点。

#ムーンライダーズ の近年のライヴの素晴らしさの記録、特にこの<マニア・マニエラ/青空百景ライヴ>は、アイデアに満ち、コンセプチュアルな演出にワクワク、そして #岡田徹 サンの姿に涙。さらに、#高橋幸宏 氏の物語を再構築した慶一サンの手腕に感服しつつ号泣。

さあて今年は、「楽しくなければ個人事業主のレコード屋じゃない(長い)」ってことで、せいぜい面白がって商い続け、親父の年齢をそっと越してきたいと思いますー

ヤマシタ先輩のこと

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※2023.7.15.加筆

高校・大学のセンパイなんです。

それは兎も角。

小山田クンと同様に、決して誉められたもんじゃないと思いますが、あの時と同じ、息苦しさも感じます。通りすがりの「正義漢」が跋扈する世の中はますます子供じみて。

頑固一徹のセンパイの演説は無邪気過ぎ、そしてとてもClosed。

推測ですが、ジャニーズ一家の皆サンと本当に仲良しなんでしょう、我々の想像をはるかに超えるレベルで。だからこそ、あの超論理派のセンパイがあそこまで感情的になっちゃったのでは。

そんなことより、わたしはクラゲになりたい。

2023年、第一声。

投稿日: カテゴリー: TALK

あけましておめでとうございます。
店を開けてから3度目の新年、数十年ぶりの長めな正月休みを取り、まだ頭がボーっとしたまま作業しているような状態の1月6日です。

「TALK」欄の更新が滞ってしまい、前回の新年ご挨拶から1年ぶりの投稿ということなってしまいました。
実は何度か原稿にトライしたのですが、推敲したり躊躇しているうちに世の中が先に進んでしまったりして挫折を繰り返したのです。
音楽以外のことを書こうとすると、まあだいたいが世の中に対する義憤のようなものになってしまい、この場にそぐわないかというような思いがあったことも確か。

今少しだけ書き記すとしたら。

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世の中が全面的に良い方向に進むことなんて無い訳で、良くなっていく部分と悪くなっていく部分がないまぜな状態で進んでいくものなんでしょうが、それにしてもこの10年ほどの世の悪化ぶりは凄まじい。
そして、以前はぼんやりとしていた問題達が、いよいよ可視化されてきたような昨年だったのでは。「分断」というやや抽象的な表現から「対立」に向かわざるを得ないのか。

良くなっている部分もある。様々な場面で取り沙汰され糾弾される差別やハラスメント。細かい課題は見つかりつつも世直しが進んでいく様を、自らの大反省とともに見守っている今は、ほろ苦くも清清しい。

それにしても民主主義ってめんどくさいものだよなあ。でも手放すつもりはない。話題の「くじ引き式」っていいんじゃないかとも思う。

組織から離れて年月が経ち、改めて自分の頭で考えることに慣れてきた今、やはり若い頃からのポリシーのまま、自分にとってのカッコ悪いこと・恥ずかしいことはしたくない、を貫いていくことでしょう。

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昨年の「私の収穫」は…

ムーンライダーズの新作とかスパークス関連とかが頭をよぎりますが、うまく形にならず。あまり吸収ができない年だったかも。感銘を受けた本とかもあったので、気が向いたらまとめます。

今年はね、自分で色々やりますよ-、多分w。

というわけでとりとめのない投稿となってしまいましたが、本年も当店の営業は続きます。どうぞご贔屓の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

謹賀新年 2022

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明けましておめでとうございます。

こちらでのご挨拶が遅くなりましたが、新年早々2日より営業スタートしております。

当店も何とか2度目の正月を迎えることができました。いつもご贔屓いただき誠にありがとうございます。

昨年の前半は、オリンピックやらの大騒ぎ、緊急事態宣言による2か月に亘る休業など、落ち着いて商売できないような状態が続きましたが、秋口辺りからはいくらか世の中の様子も変わり、新たにお越しいただくお客様も増え、少しは前向きな気分になれたかなあ、といった感じの冬を迎えているところです。

去年前半の、あの毎日憂鬱な気分。コロナのせい、というより、この状況によってあぶり出された膿のようなものたちに侵され、犯されていく感覚。いやな渡世になっちまったなあ、ってことでしょうか。

そんなことばかり言っててもしょうがないので前向きに、と今日もレコードを出し続けます。

新年は、昨年に引き続き「お年玉セール」として、<皆様のお年玉を有効に使っていただこう>という趣旨のレア盤放出を展開中。5桁ばかりで恐縮ですが、チョイと珍しいモノばかりなのでよろしくご検討ください。

それでは本年もご何卒よろしくお願い申し上げます。

2022年1月

保木哲也

あ、ついでに昨年の「私の収穫」を簡単に。

圧倒的な体験だった映画「American Utopia」。非常に新しく高度なパフォーマンスでありながら全く頭でっかちなところは無く、だれでも楽しめる音と肉体の美しさを堪能させてくれ、しかも明確なメッセージを伝えてくる。機会があれば是非、生で鑑賞したいです。

新作を聴くたびに全身に震えがくるVan Dyke Parks。この音があれば他には何にも要らないかも、と思わされます。

ベテランにして新境地を聴かせてくれたMalavoi。美しく躍動的。

Henri Salvador による新たなベッドルーム・ポップの傑作。

Brian Wilson のピアノ・アルバム、演奏もさることながらジャケットがGood。

(あとは現時点で未入手のKorgisに期待中。)

Best Bookは、近田春夫の自伝「調子悪くてあたりまえ」

2020年は新しいものを聴く余裕が全くありませんでしたが、昨年はいくつかときめくものを見つけられました。今年は更に色々と面白いものに出会いたいモンです。

東京オリンピックについて、今思うこと。 / 覚書

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2021年5月下旬現在、東京オリンピックついては、開催が『強行』される方向で開会まで約2ヶ月に迫ってます。さてどうなるんでしょー、と全く無責任に今後を展望し、後日に読み返してみたいなと。
(勝手ながら、あまり多くの方が読むことを前提にしてません。目にされた方は軽く受け流していただければ幸いです。)

最初にハッキリさせときますが、わたしは東京オリンピック反対です。すぐにでも止めて欲しい。コロナとか関係なく、そもそも誘致の段階から大反対してきました→ https://purple.ap.teacup.com/applet/kennel/msgcate2/archive
兎に角オリンピックが嫌い、ということでもないのですが、あれはやっぱし、遠くのよく知らない名前の街でやってるのを『深夜の衛星中継で』見るもの。東京なんぞで開かれたら、
1.近所でやられちゃ五月蝿いし、街をガチャガチャ弄られそうでイヤ 2.ただでさえ感動を煽られるイベントが自国開催なんかになったら、手の付けようもない同調圧力に締め付けられそうでイヤ
とゆーことで反対してるんです。

今は、1.コロナ変異株が数種発生し感染収まらず、ワクチン接種遅々として進まず 死者多数 2.東京含む複数の地域でコロナ禍による緊急事態宣言中、更に延長されそう 3.各種世論調査で6割以上(?)が開催反対
といった状況。まあ、普通に考えればこんな大運動会なんてやってる場合じゃありません。
にもかかわらず、政府、都、JOCの各トップは中止の決断を下せず、下々の者は職務を忠実に遂行することだけに邁進し、結果、外野の誰がどう言おうと、誰も流れを止められない有り様になってるように見えます。

IOCが横暴、金儲けオリンピック、日本の医療体制、無能な政府、そもそも感染症は人間の性(さが)?、などなど論ずるべき問題は山ほどありますが、ここは今後の展開に絞ります。

考えられるシナリオは色々あると思うんですけど、例えば、
1.このまま強行。大会中に関係者内などで感染拡大、競技者にもおよぶなど事態深刻化により已む無く途中で中止、という非常に悲惨でみっともない結果。
2.小池某あたりが突如中止を宣言、すったもんだの末に中止または再延期。政局など大混乱。『オリンピックを止めたんだから』という言い掛かりでエンタメ、飲食などに理不尽な圧力横行
などなど、どれも想像できるけどしたくない事態が考えられますが、実際にはこうなっちゃうんじゃないか、とわたしが大変心配するのがコレ↓
3.開催強行。真面目なスタッフたちは徹底的な対策を施すでしょう。五輪に関連する限られたエリアは、繁華街や通勤電車なんかとは次元の異なる統制のとれたものとなり感染対策など徹底、結果大きなトラブルもなく進行。競技もそこそこ盛り上がり、世の中は『感動』し、競技者やスタッフに『感謝』、挙げ句に政府まで印象が好転。まさに今自民党幹部が狙っているような結果がもたらされてしまうのでは、と。

無事にできりゃあイイじゃねーか、という向きもおられるでしょうが、それじゃあ、そもそもわたしが反対してた理由はちっとも解決されません。それに何より、強行は社会に様々な犠牲を強いり(誰か言ってた最近)、その後に大きな傷を残すのでしょう。ボクらにとっては、蛮行を止められなかったという大きな負い目を。(今それ言っちゃあオシマイか。でもなあ。)

4.開催されても、我々が一致して無視・ボイコットする。テレビやネットも見ず、SNSでは一切話題にしない
とゆー方法論もありますが、全体にまで広がらないでしょうし、『分断』ってヤツが進んじゃうだけでしょうか。

いずれにしてもボクらの憂鬱は当分続くワケで、さて3か月後にどんな気持ちでこの文章を読み返すことになるのかしらん。

売り場を拡張しました。

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新年度を迎える前にと、取り急ぎ本棚とレコード棚を増設、売り場を拡張しました。特に本棚は従来の約1.5倍になり、本の冊数もグンと増やすことができました。これで、かねてより念願だった「小林信彦コーナー」の設置、乱歩、都築道夫、川崎ゆきおなど偏愛する作家たちの蔵書がようやく日の目を見ることになったわけです。

路面店ということで、当店の存在をご存じなく通りがかりにフラッと覗かれるお客様がいらっしゃいます。大変ありがたいのですが、レコードというものはやはり特殊な品物で、一般の方にはハードルが高い(というかそもそも聞けないw)。本ならば多くの方に見ていただき興味をお持ちになるのでは、というのが本を両輪の一つとした大きな理由です(ま、単純に本が好きですし)。

とはいえ、まだ相当偏った品揃えで、ご覧になって戸惑われるお客様も多い様子。お客様からの買取りにより棚が変化していくのを楽しみにしている状況です。

棚増設にあわせて、企画特集として80年代の雑誌、80年代に関する書籍を集めたコーナーを作りました。

シティロード、ブルータスなど当時の情報誌やステディなどの音楽誌、当時のテレビの様子が目に浮かぶTVガイドやCMナウなど、時代の空気感をそのままパッケージしてしまう雑誌の面白さが堪能できるかと思います(紙のメディアならではの特性ですね)。

当時のガイド本などと併せ、後年発行の分析本など様々な書籍をご用意しましたので、お気軽に立ち読みをドーゾ。

 

レコード棚も1台増やし、現在必死にレコードつくり中です!

過去の特集コーナーも常設として残し、新しい商品は毎日補充中です。初めての方も、以前にお越しいただいた方も、お気軽に覗いていただければ幸いです。

新年のご挨拶、そしてコロナ

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新年あけましておめでとうございます。
昨年のオープンから間もなく半年、なんだかんだでここまで辿り着きました。
応援してくれる友人・知人、そして何より、何度も足を運んで頂いている方々を始めとした全てのお客様のお蔭と思っております。
綺麗ごとではなく、お客様ってホントにありがたいなあ、という気持ちは、正直、会社勤めの頃とは比較にならないほど大きいものです。色々と厳しいところもありますが、できるだけ長く続けたいと考えておりますので、もうしばらく見守ってもらえれば幸いです。

さて、コロナ第二波の最中にオープンした当店、ここにきての感染拡大にあたりどうしていくのか。

基本的には何も変えるつもりはありません。営業時間・休業も今まで通り。そもそもハナっからコロナ対応仕様でやってるワケで、自身のマスク着用と手指消毒、接客の度にカウンター周りの消毒、定期的な換気などなどは日常業務です。
カウンターには日曜大工でアクリル板を設置してありますが、試聴・接客コーナーにも近日新設。テレビスタジオかよっ、てカンジのアクリル仕切りを予定しております。

ご来店いただいた方はお分かりと思いますが、そこそこ広さもあるので人が密になることもなく(そんなに来ないしw)、ご自身によるマスク着用・手指消毒と併せて、比較的安全な環境ではないかと思います。

商品は不特定の方が触りますので、ご心配な方はご帰宅後ビニール袋の上からアルコール類で拭いてください。
我が家でもスーパー購入品など外から持ち帰ったものは全て拭いてます。

店をやっていて1つ気を付けているのが、音楽(とか商品にまつわること)以外の話題を持ち出さないこと。
コロナやら何やら面倒な日常を忘れるためにいらしているのだろう、と思うからで、逆に愚痴りたいって方はご遠慮なく。できる範囲でお相手しましょう。

「自粛を要請する」ような間違った日本語に従うつもりはありませんが、状況がより悪化してきたら、営業態勢を見直すかもしれません。が、とりあえずは毎日(定休日以外)店に来て座っております。

オンラインショップのタイトルを増やすチャンスとも思っているので、写真撮ったり作業してるかと思いますが、
何か聴きたかったり話したければ、どーぞ遠慮なくお声をお掛けください。

とゆーカンジで、今年もご来店お待ちしておりますー

7か月遅れの追悼。Ian Whitcomb

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ここ数年ミュージシャンの訃報を頻繁に耳にするようになり、その度に様々な思いを抱くのですが、こんなにジンワリと淋しい気持ちになるのは珍しいこと。その殆どのレコードを買い集め、來日時にも追っかけて直接サインを戴くなどして、大ファンを自認していたイギリスのシンガーにしてラグタイムやティンパンアレイ・ソングの研究家、イアン・ウィットカムが亡くなっていたことを、実はつい最近知りました。

亡くなった日が、4月19日という、ちょうど世の中が閉鎖態勢、わたし自身も前職を離れたばかりでかなりドタバタした状況だったとはいえ、この大事なニュースを見逃していたことに気付いたときは、ひどく脱力してしまった次第。

最初の出会いは、やはりパイド・パイパー・ハウスの広告とその店頭。ポール・マッカートニーのノスタルジー路線や、『ザッツ・エンターテインメント』がきっかけで嵌まったミュージカル映画など、good old timeのハリウッドソングへの興味を膨らませていた10代半ば、情報が少なかったことも相まって、彼の存在はとてもワクワクするものでした。

ただ、そこで一気に熱中していったわけではなく、すぐに訪れるニュー・ウェイヴの騒ぎに心奪われ、ひとまずはレコード棚の片隅へ。再会したのは’80年代後半、なんと最初の職場で催された輸入盤バーゲンコーナー。掘り出し物が多数と評判の500円均一の塊をチェックしたら、かつてパイドで見かけたタイトルがズラリと並び、片っ端から取り置き(!)の大反則に。

これが呼び水となり、以後レコード屋を覗く度に『I』コーナーをチェック、Discographyとにらめっこしながら集め続け、更にはご本人のウェブサイトからCD、著作、DVDなど様々なアイテムを収集し、いっぱしのコレクターと相成ったワケです。

R&Bスタイルの一発ヒットからスタートし、60年代のブリティッシュ・ビート・シーンをバックボーンに、突然ラグタイムを奏で始めたカッコ良さ。そのひねくれ具合とロックンロール・スピリットの混じりあい方はまさにイギリスならではの存在では。更に永年にわたってティンパンアレイを研究し続けるオタクさ加減も美しい。そして何より(後のトット・テイラーにも繋がる)フレッド・アステアを意識したと思われる小粋なボーカルスタイルが、ある種の異化効果を孕みながらも、ドリーミーなサウンドを支えています。

本来なら自分の店にズラリと並べて皆サマにお楽しみ戴くところなんですが、それは少し先に取っておくことにして、遅ればせながら彼の死を独り弔いたいと思います。合掌

そしてコトバはむつかしい

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このページやtwitterで雑文を書く機会が増えてきて、こんなわたしでも言葉遣いに気を遣わざるを得ないワケで。

ホントどうでもいいようなことなんですが例えば…

*(笑)って書き方が大昔っから大キライで使ってなかったんですが、『w』が出てきた途端に導入w(こーゆーヤツね)、それも最近ダセえなあと思い止めてみたり

*『〇〇でーす』のアンチテーゼとしての、『〇〇ですー』かなあ、とか

*『ー』をあえて使うのは昭和軽薄体ってヤツへの、まあノスタルジーみたいなもの? あ行との使い分けとかもするわけです

*長く会社で固い業務用文書ばっかし書いてたんで、どうやって崩すか、崩し過ぎて下品になってないか、とか微妙に悩むところです。わざと文法無視したりとかね

*絵文字の類いはどうも品が無いような気がして使いたくなくて。『、』『。』『…』みたいな基本的なものだけで勝負しようと

*カタカナを充てるのは、柔かさとある種の異化効果なんでしょう

*一人称をどうするか問題で、しばらくは『アタシ』を使っていたのです。東京弁の柔らかいカンジを出そうと思って、語尾の『~かしら』とかと併用していたら、違うニュアンスを帯びることがあると指摘され、『わたし』に変えてみたり

なんてまあ、チマチマしたことばかり気にしつつ、今日も中身のない駄文を書き散らしているわたしです。よろしければ引き続きお付き合いのほどを。